住宅ローンの借り換えで金利が下がっても、団体信用生命保険(団信)の保障まで同じ条件で引き継げるとは限りません。借り換えでは新しいローンの団信に申し込み、健康状態などの確認を受けるのが基本です。現在の団信に加入できていることだけで、新しい団信にも加入できると決めつけないようにしましょう。
比べたいのは「金利の低さ」「新しい団信の加入可否」「家族に必要な保障」の3つです。本記事では、借り換え前後の契約をどう並べ、どの順番で確認すると判断しやすいかを整理します。特定の病名や治療歴から、加入できる・できないを判定する記事ではありません。
- 現在の保障を、そのまま新しいローンへ移せると考えない。
- 借入審査と団信の引受判断の両方を確認する。
- 団信の上乗せ金利と諸費用を入れた総額で比較する。
今の団信は、新しい住宅ローンへ持ち運べる?
借り換えは、新たな住宅ローンを借りて現在のローンを完済する手続きです。三菱UFJ銀行は、借り換えに伴って新たに団信へ加入するため、保障内容を見直す機会になると説明しています。また、同銀行の団信の重要事項説明では、借り換え前の契約の保障が継続されないことが示されています。
つまり「今まで入っていたから、そのまま大丈夫」とは言えません。新しい契約の商品名だけでなく、保険会社、加入条件、保障内容を確認します。現在は手厚い保障に入っていても、借り換え後は基本保障だけを選ぶと、金利と同時に保障の範囲も変わる可能性があります。
最初に、現在のローンの返済予定表、団信の契約概要・しおり、加入内容が分かる書類を手元に置きましょう。「たしかがん保障が付いていた」という記憶だけで比較すると、残高の何割が対象なのか、どの状態で支払われるのかが抜け落ちます。資料が見つからない場合は、現在の借入先へ加入内容を照会してください。
住宅ローンの審査と、団信の引受判断は別に確認する
銀行へ返済できる見通しと、保険に加入できるかは同じ判断ではありません。事前審査の結果だけを見て、団信も含めてすべて確定したと考えないことが大切です。銀行ごとに手続きの順序や結果の通知方法が違うため、「団信の結果はいつ分かるか」「追加書類が必要なら誰から連絡が来るか」を聞いておきましょう。
たとえばドコモSMTBネット銀行の団信案内では、仮審査後に保険会社の案内に従って告知し、内容によって診断書等を提出する場合があること、正式審査の結果と併せて団信の査定結果を知らせる流れが案内されています。これは同銀行の例であり、すべての銀行が同じ順番という意味ではありません。
告知では、申込先の質問に従って事実を正確に回答します。現在は症状がない、薬が少量であるといった自己判断で、質問の対象になる通院・服薬などを省かないようにしてください。病名、受診時期、治療内容が曖昧なら、診療資料やお薬手帳などで整理し、回答方法の不明点は指定の窓口へ確認します。
銀行の担当者へ口頭で話したことと、所定の告知手続きを完了したことも区別します。告知後から融資実行までに健康状態が変わった場合の連絡方法は、申込先の指示を確認してください。申し込みを通すために治療や必要な受診を控えるのではなく、治療を続けたうえで正確な情報で相談しましょう。
比較表は「今の保障」と「借り換え後」を横に並べる
保障名称が似ていても、支払条件が一致するとは限りません。広告の短い見出しだけではなく、契約概要や注意喚起情報で次の項目を埋めます。分からない欄を空欄のまま契約へ進めず、銀行や保険会社へ質問するための表として使ってください。
| 比較する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 基本保障 | 死亡・障害等の支払事由と対象範囲 |
| 疾病・就業不能等の保障 | 診断だけでよいのか、所定の状態や期間が必要か |
| 返済への充当範囲 | 残高全額・一部・毎月返済額など、何が対象か |
| 開始・終了の条件 | 保障開始日、待機期間等、年齢による終了 |
| 費用 | 適用金利に含む範囲、追加金利、別払いの保険料 |
| 対象外となる場合 | 免責や支払いの対象外となる条件 |
特に「働けないときの保障」と「病気になったら残高がなくなる保障」は、同じものと考えないようにします。名称ではなく、何が起きたときに、どの支払いを、どれだけカバーするかを確認してください。団信の基礎は、団信で住宅ローンが弁済される条件と対象外で整理しています。
上乗せ金利を入れると借り換え効果はどう変わる?
以下は当サイトの仮定計算です。残高2,000万円、残り20年、元利均等返済、ボーナス返済なしで、借り換え後も同じ期間とします。金利は全期間変わらないと仮定し、借り換え費用60万円は現金で別払いします。実在商品の提示条件や、同一保障の比較を示したものではありません。
| 案 | 月々の返済 | 今後の支払総額 |
|---|---|---|
| 現在のまま 年1.2% |
約93,774円 | 約2,250.6万円 |
| 借換案A 年0.8% |
約90,205円 | 約2,224.9万円 |
| 借換案B 年0.8%+団信上乗せ0.3%=年1.1% |
約92,874円 | 約2,289.0万円 |
案Aは費用込みで現在より約25.7万円少ない一方、案Bは約38.4万円多くなります。案Bでも毎月の返済額は現在より約900円低く見えますが、費用60万円を含む総額では逆転します。「月額が下がるから得」と判断すると、この差を見落とします。
ただし、案Bの保障に家族として価値を感じるなら、総額が増えることだけで不適切とは言えません。現在の保障と比べて何が増減するかを確認し、その保障に対する追加負担として判断します。案Aと案Bの保障内容はこの試算では設定していないため、保障の優劣は判定できません。
計算は月利=年利÷12、返済回数240回とし、月額は円単位、総額は万円単位で丸めています。金利変動、税効果、日割利息、金融機関の端数処理は含みません。費用を借りる場合は借入額が増えるため別計算です。
団信上乗せの負担は団信の金利上乗せ0.1〜0.3%の比較、費用回収と途中の残高まで見る方法は借り換え費用を何年で回収できるかも参考になります。
一般の団信で希望どおりにならない場合
申込先にワイド団信など別の選択肢があるか確認できますが、加入できることを保証する制度ではありません。用意されている保障や上乗せ条件も商品ごとに違います。提示を受けた場合は、最初に比較した金利ではなく、実際に利用できる団信を付けた条件で試算し直しましょう。
住宅金融支援機構は、健康上の理由などで団信に加入しない場合もフラット35を利用できると案内しています。ただし、借り換え融資そのものの利用条件や審査を満たす必要があり、団信なしで借りられることと、家族の返済負担に備えられていることは別です。
団信なしの案を比較するなら、万一の際に残るローン、家族の収入、貯蓄、すでに加入している生命保険などを並べて検討します。新たな生命保険に入ることを前提にする場合も、その保険に加入できるか、保険料はいくらかが未確定のまま進めないようにします。
現在のローンを維持する案も比較対象です。以前から加入している保障を失う不利益が大きいなら、金利が少し低い商品へ急いで替えることが最善とは限りません。現在の借入先で利用できる金利タイプ変更等があるかも確認し、保障を含む家計全体で選びましょう。
保障の切り替わりを日付で確認する
契約の前には「旧ローンの完済日」「新ローンの融資実行日」「旧団信の終了」「新団信の保障開始」を確認します。基本保障と疾病特約等で開始条件が違う場合もあるため、一つの開始日だけで全保障が同時に有効になると判断しないことが重要です。
銀行へは「この借り換えで、現在と比べて一時的に対象外になる保障はありますか」「その間に事由が起きた場合はどう扱われますか」と質問し、説明を該当資料で確かめます。告知の有効期間、融資日が変更になった場合の再手続きについても、実行日が近づく前に聞いておきましょう。
今の団信の内容を確認せず先にローンを完済したり、新しい団信の結果が出る前に関連する民間保険を解約したりすると、想定した保障が確保できない可能性があります。手続きの順番は両金融機関に確認し、保障と融資条件が固まってから切り替えを進めてください。
銀行に聞く質問を、申し込み前にまとめる
- 希望する団信は借り換えでも選べるか。加入年齢等の条件は何か。
- 告知の方法、必要資料、結果が分かる時期はいつか。
- 希望する団信が認められない場合、どの条件で再検討できるか。
- 上乗せを含む金利・月額・諸費用・総額はいくらか。
- 現在の保障と比べて減る内容、開始条件が異なる内容はあるか。
- 融資実行日や健康状態が変わった場合、どの窓口へ連絡するか。
同じ質問を各行へ聞くと、説明の分かりやすさも含めて比較できます。回答は「商品資料で確認できたこと」「自分の審査結果待ちのこと」に分けて残します。一般的な商品案内を、自分に確定した条件として扱わないようにしてください。
団信の条件をそろえたら、次は手数料と費用回収を含めた見積もりを比較しましょう。
まとめ:借り換えは金利と保障を一緒に比べる
団信は借り換え前の契約をそのまま移すのではなく、新しいローンに合わせて確認する必要があります。現在の保障を把握し、新しい団信の加入可否、上乗せ費用、保障の開始条件まで確認してから判断しましょう。
金利差だけでは分からない費用と保障の違いを見える形にすれば、借り換える案と現在のローンを続ける案を比較できます。まずは今の団信資料と返済予定表を用意し、希望する借換先へ同じ条件で見積もりと保障の説明を依頼してください。
一次情報と確認日
確認日:2026年10月22日。各金融機関の案内はそれぞれの商品に関する情報です。加入可否は個別の引受判断、借り換えの可否は金融機関の審査によります。試算の金利・費用は説明用の仮定で、現在の募集金利ではありません。


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