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住宅ローン返済中の家でも、売却できます。ただし、一般的な売買では引渡しと同時に住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消できる資金計画が必要です。売却価格がローン残高を上回っていても、仲介手数料や登記費用などを差し引くと完済資金が不足する場合があるため、査定価格だけで判断してはいけません。
この記事では、返済中の家を売るための確認事項、売却の流れ、必要費用、売却代金で完済できない場合の対応、税金の注意点を順番に整理します。転勤・離婚・収入減などで売却を急いでいる方も、まず数字と期限を確認してから進めましょう。
- 売却できるかは「成約見込額-売却費用」とローン残高を比較して判断する
- 通常売却では、原則として決済日に完済と抵当権抹消を同時に行う
- 一括返済手数料や必要書類は金融機関ごとに異なるため早めに確認する
- 売却代金で完済できない場合は、自己資金・住み替えローン・任意売却などを検討する
住宅ローン返済中でも家は売れる
住宅ローンの返済中であっても、家を売り出したり売買契約を締結したりすること自体は可能です。ただし、買主へ引き渡す際には、その家に付いている抵当権を抹消できる状態にするのが基本です。抵当権は、返済が滞った場合に金融機関が担保不動産から回収するための権利であり、ローンを完済しただけで登記が自動的に消えるものではありません。
実務では、決済日に買主から受け取る売買代金を住宅ローンの一括返済へ充て、金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取ります。同じ日に所有権移転登記と抵当権抹消登記を進めるため、金融機関、不動産会社、司法書士との事前調整が必要です。
完済予定日、返済口座、一括返済手数料、抹消書類の受取方法は金融機関ごとに異なります。売買契約前から相談し、決済日に間に合うよう手続きを確認してください。
最初に確認する4つの金額
「査定額がローン残高より高いから売れる」と考えるのは早計です。売却の可否を判断するときは、次の4項目を同じ表にまとめます。
| 確認項目 | 確認方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅ローン残高 | 返済予定表、残高証明書、金融機関への照会 | 決済予定日までの元金と利息を確認 |
| 成約見込額 | 不動産会社の査定、周辺の成約事例 | 高い査定額だけでなく根拠と販売期間を見る |
| 売却費用 | 仲介手数料、印紙税、登記費用などの見積り | 測量・解体・残置物撤去が必要な場合もある |
| 完済後の残額 | 成約見込額-ローン残高-売却費用 | マイナスなら不足額を埋める方法が必要 |
たとえば、ローン残高2,500万円、成約見込額2,700万円、売却費用120万円なら、概算の残額は80万円です。一方、成約価格が2,550万円へ下がれば、売却費用を含めると完済資金が不足します。価格を「強気・標準・慎重」の3段階で試算しておくと、値下げ時にも判断しやすくなります。
売却代金で完済できない状態はオーバーローンと呼ばれます。詳しい不足額の計算と対処法は、オーバーローンで家を売る5つの方法で解説しています。
住宅ローン返済中の家を売る7つの手順
1.ローン残高と金融機関の手続きを確認する
最新の残高だけでなく、一括返済を申し込む期限、手数料、抵当権抹消書類の準備期間を確認します。ペアローンや複数の抵当権がある場合は、契約ごとに残高と手続きを分けて整理してください。
2.査定を受け、現実的な成約価格を決める
査定では、近隣の売出価格だけでなく実際の成約事例、築年数、建物状態、接道、管理状況などが考慮されます。高い査定額を提示した会社が最も高く売れるとは限りません。査定根拠、想定する買主、販売期間、値下げの判断基準まで確認しましょう。
3.売却費用と手取り額を試算する
仲介手数料、売買契約書の印紙税、抵当権抹消登記費用、司法書士報酬などを見込みます。物件によっては、境界確定、建物解体、荷物撤去、ハウスクリーニングなどが必要です。これらを差し引いた後の金額で完済可能か確認します。
4.媒介契約を結び、販売を開始する
売却期限と最低限必要な手取り額を不動産会社へ共有します。住み替えや転勤で期限がある場合、広告開始日、内覧対応、価格見直しの時期まで予定を決めておくと、急な値下げを避けやすくなります。
5.購入申込みを受け、資金計画を再確認する
買主から価格交渉が入ったときは、値下げ後の売却代金で完済できるかを再計算します。手付金を受け取る売買契約後に資金不足が判明すると、契約を履行できないリスクがあります。売買契約を結ぶ前に金融機関と不動産会社へ確認してください。
6.一括返済と抵当権抹消の準備をする
決済日が決まったら、金融機関へ一括返済を正式に申し込みます。司法書士は、金融機関が交付する書類、所有者の本人確認書類、登記識別情報などを確認します。必要書類に不足があると決済日を変更する場合があるため、早めに準備しましょう。
7.決済・完済・引渡しを行う
決済日に買主から売買代金を受け取り、住宅ローンを完済します。抵当権抹消書類の引渡し、所有権移転登記、鍵の引渡しを同日に進めるのが一般的です。管理費や固定資産税などの精算も行い、取引を完了します。
売却代金で住宅ローンを完済できない場合
売却価格から費用を差し引いた手取り額がローン残高に届かない場合、通常売却を成立させるには不足額を補う必要があります。主な選択肢は次のとおりです。
- 自己資金で補う:預貯金を使う場合も、引越費用と当面の生活資金を残す
- 売却時期・販売条件を見直す:返済継続が可能なら、残高減少と市況を比較する
- 住み替えローンを検討する:残債と新居資金をまとめるため、借入額と審査負担が大きくなる
- 金融機関の同意を得て任意売却を検討する:返済継続が困難で、通常売却では完済できない場合の選択肢
住宅金融支援機構は、返済継続が困難となった場合に任意売却で残債務を圧縮する選択肢を案内しています。ただし、任意売却には債権者の同意が必要で、売却後の残債が当然になくなるわけではありません。手続の詳細は任意売却の流れ・競売との違い・売却後の残債をご確認ください。
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住宅ローン返済中の売却で必要になる主な費用
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社へ支払う成功報酬。上限は売買価格に応じて計算されます。 |
| 印紙税 | 紙の売買契約書へ貼付する収入印紙。契約金額等で異なります。 |
| 抵当権抹消登記費用 | 登録免許税と司法書士報酬など。抵当権の数や不動産の個数で変わります。 |
| 一括返済手数料 | 金融機関や返済方法によって無料または有料です。 |
| その他 | 測量、解体、残置物撤去、引越し、住所変更登記など、物件状況に応じて発生します。 |
費用を概算するときは、売却後に手元へ残す引越費用と新居の初期費用も別枠で確保してください。完済できても生活資金がなくなる計画では、売却後の家計が不安定になります。
売却益・売却損と税金の注意点
家を売った価格が購入価格を下回っていても、税務上の譲渡損失になるとは限りません。建物の取得費は所有期間に応じて減価償却相当額を差し引いて計算するためです。反対に譲渡所得が生じた場合でも、一定の要件を満たすマイホームには最高3,000万円の特別控除があります。国税庁は、適用を受けるには確定申告が必要と案内しています。
また、住宅ローンが残るマイホームを残高より低い価格で売り、一定の要件を満たす場合は、譲渡損失を給与所得などと損益通算し、控除しきれない分を翌年以後3年間繰り越せる特例があります。2026年9月26日時点の国税庁案内では、対象となる期限や所有期間、ローン残高など細かな要件が定められています。税制は契約日・居住状況・所有期間で結論が変わるため、売却前に税務署または税理士へ確認してください。
住み替えは「売り先行」を基本に資金を固める
返済中の家から住み替える場合、先に現在の家を売る「売り先行」は、売却代金と完済額を確定させてから新居予算を決めやすい方法です。一方、新居を先に買う「買い先行」は仮住まいを避けやすい反面、現在のローンと新居のローンが重なる可能性があります。
売却が予定より長引いた場合も返済を継続できるか、成約価格が下がっても完済できるかを確認してください。返済負担が厳しいときは、先に新居を契約せず、借入先へ相談する方が安全です。月々の返済額を下げる方法は住宅ローンの返済期間延長と条件変更で整理しています。
返済が苦しいときに避けたい行動
売却するつもりだからと返済を止める
売却活動中でも返済義務は続きます。延滞すると遅延損害金や信用情報への影響が生じる可能性があり、時間が経つほど選択肢が狭まります。返済が難しいと分かった時点で借入先へ相談してください。
査定額の高さだけで会社を決める
査定額は成約を保証する金額ではありません。根拠が弱い高額査定で販売を始めると、長期化と値下げを繰り返し、結果的に資金計画が崩れることがあります。
不足額を安易な追加借入で埋める
カードローンなどで不足額を補うと、金利と毎月返済が増えるおそれがあります。新たに借りる前に、金融機関や専門家へ家計全体を相談しましょう。
すでに翌月の返済が難しい場合は、住宅ローンを滞納する前に行う5つの対策を確認してください。督促や一括請求に関する通知が届いている場合は、滞納から競売までの流れを確認し、通知を放置しないことが重要です。
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まとめ:売却価格ではなく「手取り額」で完済可否を判断する
住宅ローン返済中の家でも売却できます。まずローン残高、現実的な成約価格、売却費用を確認し、決済日に住宅ローンを完済して抵当権を抹消できるかを計算してください。売却活動を始める前から金融機関へ一括返済の手続きを確認し、不動産会社・司法書士と決済日を調整することが大切です。
売却代金で完済できない場合も、自己資金、売却条件の見直し、住み替えローン、任意売却などの選択肢があります。返済が苦しいときは、延滞してからではなく、使える時間があるうちに借入先と専門家へ相談しましょう。


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