住宅を購入するときに必ず確認しておきたい制度のひとつが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。
住宅ローン控除は、一定の条件を満たして住宅ローンを利用してマイホームを購入・新築・増改築した場合に、住宅ローンの年末残高などを基に計算した金額を所得税から控除できる制度です。
2026年の制度改正では、住宅ローン減税の適用期間が2030年入居分まで延長されました。また、中古住宅についても省エネ性能が高い住宅の借入限度額や控除期間が拡充され、これまで以上に住宅性能による差が大きくなっています。
・控除率は原則0.7%
・新築の認定住宅・ZEH水準住宅などは最大13年間
・省エネ性能の高い中古住宅も13年間へ拡充
・住宅性能によって借入限度額が大きく異なる
・子育て世帯・若者夫婦世帯は一定の上乗せ措置あり
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる所得税の税額控除制度です。
住宅ローンを利用して一定の住宅を取得し、要件を満たして居住した場合、年末時点の住宅ローン残高などをもとに計算した金額を所得税から差し引くことができます。
2026年時点の控除率は原則0.7%です。
たとえば、住宅ローン控除の対象となる年末残高が3,000万円の場合、単純計算では
がその年の控除額の目安になります。
ただし、実際に戻る金額は「年末残高×0.7%」がそのまま必ず返ってくるわけではありません。住宅の種類ごとに設定された借入限度額や、自分が支払っている所得税額などによって実際の控除額は変わります。
2026年の住宅ローン控除は2030年まで延長
2026年度の制度改正により、住宅ローン減税は5年間延長され、一定の要件を満たす住宅について2030年12月31日までに入居した場合が対象となります。
住宅ローンを使って住宅を購入する人にとっては大きな制度ですが、2026年以降は住宅性能によって受けられる控除額にかなり差が出ます。
特に新築住宅では、省エネ性能を満たしていない住宅は原則として住宅ローン控除の対象外となるケースがあるため、購入前に住宅性能の確認が重要です。
2026年の新築住宅|住宅ローン控除の借入限度額
2026年に入居する新築住宅では、住宅性能によって住宅ローン控除の対象となる借入限度額が異なります。
| 住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
長期優良住宅・低炭素住宅の場合、一般世帯では最大4,500万円までが住宅ローン控除の対象となり、子育て世帯・若者夫婦世帯では最大5,000万円まで上乗せされます。
ここでいう子育て・若者夫婦世帯とは、一定の年齢・家族構成の条件を満たす世帯を指します。
国税庁では、2026年の対象者として、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人などを「特例対象個人」としています。
新築の「その他の住宅」は注意
2026年以降の新築住宅で特に注意したいのが、省エネ性能を満たしていない「その他の住宅」です。
国税庁の2026年制度では、原則として省エネ基準を満たしていない新築住宅について、住宅ローン控除の対象となる借入限度額は0円となっています。
ただし、過去の建築確認時期など一定の経過措置を満たす住宅については例外があります。
そのため、新築住宅を購入するときは、価格や住宅ローン金利だけでなく、
- 長期優良住宅か
- ZEH水準省エネ住宅か
- 省エネ基準適合住宅か
- 住宅省エネルギー性能証明書等が取得できるか
を必ず確認してください。
2026年は中古住宅の住宅ローン控除が拡充
2026年の大きな変更点のひとつが、中古住宅に対する住宅ローン控除の拡充です。
これまで中古住宅は、新築と比べて控除期間や借入限度額が小さいケースが多くありました。
2026年以降は、省エネ性能の高い中古住宅について控除期間が13年間となり、借入限度額も拡充されています。
| 中古住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の中古住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 | 10年 |
たとえば、認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅に該当する中古住宅の場合、一般世帯でも年末残高3,500万円までが控除対象となり、最大13年間控除を受けられます。
中古住宅を購入する場合は、単に築年数だけを見るのではなく、省エネ性能証明が取れるかどうかまで確認することで、住宅ローン控除額に大きな差が出る可能性があります。
住宅ローン控除はいくら戻る?簡単に計算
住宅ローン控除の基本的な計算は、
です。
たとえば、長期優良住宅を購入し、年末時点の住宅ローン残高が4,000万円ある場合、一般世帯の借入限度額4,500万円以内なので、
がその年の住宅ローン控除額の目安です。
一方、年末残高が5,000万円あっても、一般世帯の長期優良住宅なら借入限度額は4,500万円なので、計算対象は4,500万円までとなります。
その場合、年間の最大控除額は、
となります。
ただし、この31万5,000円が必ず現金で戻ってくるわけではありません。実際に支払っている所得税額などが上限となるため、所得が低い場合などは全額を使い切れないケースがあります。
住宅ローン控除を受ける主な条件
住宅ローン控除を受けるには、住宅性能以外にも複数の条件があります。
- 住宅の取得等から原則6か月以内に入居すること
- その年の12月31日まで引き続き居住していること
- 原則として床面積50㎡以上であること
- 一定の条件では40㎡以上50㎡未満も対象
- 合計所得金額が原則2,000万円以下であること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 自ら居住する住宅であること
特に注意したいのが、返済期間10年以上という条件です。
繰上返済を行った結果、住宅ローンの償還期間が10年未満になった場合、それ以降は住宅ローン控除を受けられなくなる可能性があります。
繰上返済については、住宅ローン控除期間中に行うべきかどうかも含め、税金と利息の両方を比較して判断する必要があります。
40㎡以上50㎡未満の住宅も対象になる場合がある
住宅ローン控除では原則として床面積50㎡以上が条件ですが、一定の住宅については40㎡以上50㎡未満でも対象となる場合があります。
ただし、この場合は所得条件がより厳しく、合計所得金額が1,000万円以下などの条件があります。
また、床面積は広告や販売図面に記載された面積ではなく、原則として登記事項証明書に記載された床面積で判定されます。
マンションの場合は共用廊下やエントランスなどの共有部分は含まれず、登記上の専有部分の床面積で判定される点にも注意してください。
住宅ローンの借入額を増やせば控除も増える?
住宅ローン控除があるからといって、必要以上に住宅ローンを借りるのはおすすめできません。
住宅ローン控除の控除率は0.7%ですが、住宅ローン金利が上昇すれば、支払う利息の方が大きくなる可能性があります。
また、住宅ローン控除には住宅性能ごとの借入限度額があるため、限度額を超えて借りてもその部分は控除計算の対象になりません。
まずは「いくら借りられるか」ではなく、「無理なく返せる金額はいくらか」を決めることが重要です。
借入額の考え方については、住宅ローンはいくら借りられる?年収別の借入目安も参考にしてください。
ペアローンなら夫婦それぞれ控除を受けられる?
夫婦がペアローンを利用し、それぞれが住宅ローンの債務者となっている場合、それぞれが住宅ローン控除の要件を満たせば、夫婦それぞれで控除を受けられる可能性があります。
たとえば夫3,000万円、妻2,000万円を借り、それぞれ住宅の持分を所有している場合、それぞれの住宅ローン残高や持分などに応じて控除額を計算します。
ただし、実際の資金負担割合と不動産の持分割合が大きく異なると、贈与税など別の問題が生じる可能性があります。
ペアローンを検討している方は、ペアローンと収入合算はどっちがいい?違いと選び方も確認してください。
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要
会社員であっても、住宅ローン控除を初めて受ける年は原則として確定申告が必要です。
国税庁では、初年度について、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住宅ローンの年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書・工事請負契約書の写しなど、住宅の種類に応じた書類を提出するよう案内しています。
省エネ住宅や認定住宅の場合は、さらに住宅性能を証明する書類が必要になることがあります。
給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
住宅性能証明書は購入前に確認する
2026年の住宅ローン控除では、住宅の省エネ性能が控除額に直結します。
そのため、物件を購入してから「この住宅はZEH水準ですか?」と確認するのでは遅い場合があります。
購入前に、不動産会社や住宅会社へ、
- 住宅ローン控除の住宅区分
- 長期優良住宅認定の有無
- ZEH水準省エネ住宅か
- 省エネ基準適合住宅か
- 必要な証明書が発行可能か
を確認しておきましょう。
特に中古住宅では、同じ価格帯でも住宅性能によって住宅ローン控除額が変わる可能性があるため、物件比較のひとつの材料になります。
住宅ローン控除と金利、どちらを優先する?
住宅ローン控除があるから変動金利、控除が少ないから固定金利という単純な選び方はおすすめできません。
住宅ローン控除は税制上の優遇制度ですが、住宅ローン金利は長期にわたって実際に支払うコストです。
2026年は住宅ローン金利環境も変化しているため、住宅ローン控除だけでなく、金利上昇時の返済負担も含めて検討する必要があります。
変動金利を検討している方は、変動金利の5年ルール・125%ルールとは?もあわせて確認してください。
よくある質問
Q. 住宅ローン控除は最大いくら戻りますか?
住宅の性能、入居年、世帯区分、年末の住宅ローン残高などによって異なります。2026年に入居する新築の長期優良住宅・低炭素住宅では、一般世帯の借入限度額は4,500万円なので、年間の控除限度額は31万5,000円です。子育て・若者夫婦世帯では借入限度額5,000万円となる場合があり、年間最大35万円となります。
Q. 中古住宅でも住宅ローン控除を受けられますか?
はい。一定の条件を満たす中古住宅は対象です。2026年からは省エネ性能の高い中古住宅について借入限度額や控除期間が拡充されています。
Q. 住宅ローン控除は13年間必ず受けられますか?
いいえ。住宅の種類によって控除期間が異なります。新築の認定住宅等や一定の省エネ中古住宅では13年間ですが、その他の中古住宅は原則10年間です。
Q. 返済期間を10年未満にするとどうなりますか?
住宅ローン控除の対象となる借入金は、原則として10年以上にわたり分割返済するものが条件です。繰上返済などで返済期間が10年未満となった場合、その年以降は控除対象外になる可能性があります。
Q. 会社員でも確定申告が必要ですか?
住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも原則として確定申告が必要です。2年目以降は一定の手続きを行うことで年末調整が利用できます。
まとめ|2026年は住宅性能で控除額が大きく変わる
2026年の住宅ローン控除では、控除率0.7%という基本ルールは共通ですが、住宅性能によって借入限度額や控除期間が大きく異なります。
特に重要なのは、省エネ性能の高い住宅ほど住宅ローン控除が手厚くなることです。
新築住宅では、長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の順に借入限度額が設定されています。
また、2026年からは中古住宅でも省エネ性能の高い住宅の控除期間が13年へ拡充されるなど、中古住宅購入者にとっても重要な改正が行われています。
住宅ローン控除は、住宅を購入した後に考える制度ではありません。住宅選び・住宅ローン選びの段階から「その物件がどの住宅区分になるのか」を確認しておくことが重要です。
住宅ローン金利、借入額、住宅性能、住宅ローン控除をまとめて比較し、総支払額で判断するようにしましょう。
※本記事は2026年9月11日時点の国税庁・国土交通省の公表情報を基に作成しています。税制・適用条件・必要書類等は個別の状況によって異なります。実際の適用については国税庁・税務署または税理士等へご確認ください。


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