「自分の年収なら住宅ローンはいくらまで借りられるのか?」は、住宅購入を考え始めたときに、多くの方が最初に気になるポイントです。
年収500万円なら3,000万円なのか、4,000万円なのか。年収600万円なら5,000万円まで借りられるのか。インターネット上では「年収の5倍」「年収の7倍」といった目安も見かけますが、実際の住宅ローン審査は年収だけでは決まりません。
金融機関は、毎年の返済額が年収に対してどの程度になるかを示す「返済負担率」をはじめ、年齢、勤続年数、他の借入、信用情報、購入物件の担保評価などを総合的に確認します。
この記事では、年収300万円・400万円・500万円・600万円・800万円を例に、住宅ローンの借入額を具体的に試算します。さらに、「銀行から借りられる金額」と「家計として無理なく返せる金額」が違う理由まで分かりやすく解説します。
住宅ローンの借入額は「年収の何倍」だけでは決まらない
住宅ローンについて調べると、「年収の5倍程度」「年収の7倍まで」といった表現を見ることがあります。
しかし、住宅ローン審査では単純な年収倍率だけで融資額が決まるわけではありません。
- 年収
- 毎月の住宅ローン返済額
- 自動車ローンなど他の借入
- 返済期間
- 審査に用いられる金利
- 申込時・完済時の年齢
- 勤続年数や雇用形態
- 購入物件の担保評価
こうした条件が違えば、同じ年収500万円の方でも住宅ローンの審査結果や借入可能額が異なることがあります。
国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、返済負担率を審査項目としている金融機関は90.9%です。さらに、年収は94.2%、完済時年齢は98.4%の金融機関が審査項目としています。
返済負担率とは?住宅ローン審査の重要な基準
返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどの程度を占めるかを示す割合です。
たとえば年収500万円で、年間のローン返済額が150万円なら返済負担率は30%です。
住宅金融支援機構のフラット35では、すべての借入れを含めた総返済負担率について、次の基準を設けています。
| 年収 | 総返済負担率 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
ここで注意したいのが、「住宅ローンだけの返済額」ではないことです。
自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレジットカードのキャッシング、商品の分割払いやリボ払いなども年間返済額に含まれます。
住宅ローンの審査について詳しく知りたい方は、当サイトの「住宅ローン審査に落ちる7つの理由」もあわせて確認してください。
【年収別】住宅ローンはいくらまで?借入額を試算
では、年収ごとにどの程度の借入額になるのか、一定の条件を置いて試算してみます。
今回は、2026年9月のフラット35で、返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付きの場合の最頻金利である年3.46%を参考にします。返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、他の借入なしという条件です。
| 年収 | 返済負担率 | 月間返済額の上限目安 | 借入額の単純試算 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 30% | 約7.5万円 | 約1,820万円 |
| 400万円 | 35% | 約11.7万円 | 約2,840万円 |
| 500万円 | 35% | 約14.6万円 | 約3,550万円 |
| 600万円 | 35% | 約17.5万円 | 約4,260万円 |
| 800万円 | 35% | 約23.3万円 | 約5,680万円 |
※上記はフラット35の総返済負担率基準と年3.46%を利用した参考試算です。実際の借入可能額を保証するものではありません。金融機関の審査基準、借入時年齢、完済時年齢、他の借入、購入物件、適用金利などによって結果は異なります。
この表で最も重要なのは、「この金額まで借りるべき」という意味ではないことです。
あくまで返済負担率の上限近くまで使った場合の参考値として考えてください。
年収500万円なら3,500万円借りても大丈夫?
上の試算では、年収500万円の場合、約3,550万円という数字になりました。
しかし、ここで住宅ローン選びの重要なポイントがあります。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は同じではありません。
住宅ローン審査では一定の返済負担率まで融資対象になったとしても、実際の家計には住宅ローン以外にも多くの支出があります。
- 食費
- 水道光熱費
- 教育費
- 保険料
- 自動車関連費
- 固定資産税
- マンションの管理費・修繕積立金
- 戸建て住宅の修繕費
- 旅行やレジャー費
- 老後資金の積立
さらに変動金利を選ぶ場合、将来の金利上昇によって住宅ローンの負担が増える可能性があります。
金融機関から提示された借入可能額をそのまま住宅購入予算にするのではなく、住宅購入後も毎月貯蓄を続けられるかという視点で考えることが重要です。
自動車ローンがあると借入可能額は大きく変わる
住宅ローンを検討するときに見落としやすいのが、すでに返済している他のローンです。
たとえば年収500万円の場合、総返済負担率35%を単純に当てはめると、年間返済額の上限目安は175万円、月額では約14万5,800円です。
しかし、自動車ローンを毎月3万円返済している場合、その3万円も総返済負担率に含まれます。
住宅ローンの返済に使える金額は、単純計算すると月約11万5,800円まで下がります。
同じ年3.46%・35年返済で試算すると、住宅ローンの借入額は約2,820万円です。
他の借入がない場合の約3,550万円と比較すると、700万円以上の差になります。
住宅ローンの事前審査を申し込む前に、自動車ローン、カードローン、分割払いなどについて、残高だけでなく毎月の返済額も確認しておきましょう。
頭金を増やすと住宅ローン審査は有利になる?
自己資金を入れて住宅ローンの借入額を減らせば、毎月返済額と返済負担率を下げることができます。
そのため、希望借入額が審査上ぎりぎりの場合には、頭金を増やすことで条件が改善する可能性があります。
ただし、住宅購入時に預貯金のほとんどを頭金へ使うのは注意が必要です。
住宅購入時には、登記費用、住宅ローン手数料、火災保険、引越し、家具・家電などさまざまな費用が必要になります。
購入後に設備故障など予定外の支出が発生することもあります。
頭金は「多ければ多いほどよい」と考えるのではなく、住宅購入後に残す現金とのバランスを考えて決めることが大切です。
返済期間を長くすると借入額が増える場合がある
同じ借入額でも、返済期間を長くすると毎月返済額は小さくなります。
そのため、返済負担率だけを見ると、返済期間を長くすることで審査上の借入可能額が増える場合があります。
ただし、返済期間が長くなれば利息を支払う期間も長くなります。
また、完済時年齢も重要です。
国土交通省の最新調査では、98.4%の金融機関が「完済時年齢」を住宅ローンの審査項目としています。
単純に「35年返済にすれば多く借りられる」と考えるのではなく、自分が何歳まで住宅ローンを返済することになるのかまで確認してください。
変動金利ならもっと借りられる?
変動金利は、全期間固定金利よりも借入時の適用金利が低い商品が多く、実際の毎月返済額は小さくなりやすい傾向があります。
ただし、金融機関が住宅ローン審査で返済能力を計算するときに使用する金利や審査方法は、金融機関ごとに異なります。
広告などに表示されている低い適用金利だけを使って、「自分ならこれだけ借りられる」と判断するのは避けてください。
さらに、変動金利は将来の適用金利が確定していません。
借入可能額いっぱいまで借りてしまうと、将来金利が上昇したときに家計が苦しくなる可能性があります。
現在の金利環境については、「2026年9月の住宅ローン金利比較」もあわせて確認してください。
住宅ローンは複数の金融機関を比較する
住宅ローンの借入可能額や適用金利は、金融機関によって同じではありません。
同じ年収、勤務先、購入物件でも、ある銀行では希望額に届かず、別の銀行では希望額まで審査が進むこともあります。
また、借入可能額だけでなく、適用金利、事務手数料、団体信用生命保険なども金融機関ごとに異なります。
「一番多く貸してくれる銀行」を探すのではなく、「無理なく返せる金額を、できるだけ良い条件で借りられる銀行」を比較することが重要です。
まとめ|「借りられる額」ではなく「返せる額」から考える
住宅ローンの借入可能額は、年収だけで決まるものではありません。
返済負担率、他の借入、返済期間、年齢、金利、勤続年数、信用情報、物件の担保評価などを金融機関が総合的に確認して判断します。
年収別の借入額は住宅購入予算を考えるうえで参考になりますが、審査上の上限まで借りることが最適とは限りません。
住宅購入後も生活費や教育費を支払い、貯蓄を続けながら無理なく返済できる金額を先に考え、その範囲で住宅ローンを比較することが大切です。 頭金と生活予備費の配分は住宅ローンの頭金と手元資金の比較、借入期間を延ばす場合は35年・40年・50年ローンの違いで具体的に確認できます。
情報基準日:2026年9月6日
本記事の借入額は一定条件による参考試算です。実際の融資額、適用金利、審査結果は金融機関、申込者、購入物件等によって異なります。
主な確認先
- 住宅金融支援機構「フラット35 金利情報・ご利用条件」
- 国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」


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