住宅ローンは変動金利の低さが気になる一方、将来の返済額が増えるのは不安。そんなときに比較したいのが、異なる金利タイプを組み合わせるミックスローンです。ただし、半分ずつにすれば必ず得になるわけではありません。固定する部分の費用を負担しながら、変動する部分のリスクも残る仕組みです。
本記事では、全額変動、全額固定、半分ずつのミックスを同じ条件で試算します。「どの金利が当たりか」を予想するのではなく、返済額が増えた場合に家計がどこまで対応できるかを軸に考えましょう。
- 固定する期間と、固定・変動の借入割合を分けて考える。
- 当初の月額だけでなく、金利上昇後の合計月額を出す。
- 契約ごとの費用、団信、繰上返済の条件まで確認する。
ミックスローンとは?ペアローンとの違い
ミックスローンは、借入額を分けて異なる金利タイプなどを組み合わせる方法です。たとえば3,600万円のうち1,800万円を変動金利、残り1,800万円を全期間固定金利にする形が考えられます。組合せ可能な種類、金額の単位、申込方法は金融機関によって異なります。
三井住友銀行は、変動金利型・固定金利特約型・超長期固定金利型を組み合わせるミックスプランを案内しています。三菱UFJ銀行も複数の金利タイプを組み合わせる借入方法を案内しています。これらは各行の商品説明で、どの銀行でも同じ条件で利用できるという意味ではありません。
一方、ペアローンは夫婦などがそれぞれ債務者になる借入方法です。「契約が複数ある」という点だけで同じものと考えないでください。誰が債務者か、誰にどの保障が付くかという問題と、固定・変動をどう配分するかという問題は分けて確認します。
固定部分が「全期間固定」か「固定期間選択型」かを確認
固定金利という名前でも、35年間の全期間固定と、最初の10年間だけ固定する契約では役割が異なります。金利上昇への備えとして長く返済額を確定したい場合に、10年後の条件を確認せず同じ安心感だと考えるのは適切ではありません。
固定期間選択型では、終了後にどの金利タイプを選べるか、優遇幅や変更手数料をどう扱うかも確認します。固定部分が終わる時期と、教育費のピークや退職予定が重なる場合は、その時期の合計返済額を別に試算してください。関連:住宅ローンの固定期間が終わるときの選択肢。
3,600万円を借りる場合の当初返済額を比較
以下は仕組みを比べるための当サイト独自の仮定計算です。借入総額3,600万円、35年・420回、元利均等返済、ボーナス返済なしとします。変動部分の当初年利を1.0%、全期間固定部分を年2.5%と置きます。現行の募集金利、審査後の適用金利、将来予測ではありません。
| 借り方 | 借入割合 | 当初の月額 |
|---|---|---|
| 全額変動 | 変動100% | 約101,623円 |
| 半分ずつ | 変動50%・固定50% | 約115,161円 |
| 全額固定 | 固定100% | 約128,698円 |
半分ずつの案は、変動部分約50,811円と固定部分約64,349円の合計です。表の合計額は丸める前の数字から計算しているため、各部分を円単位で丸めて足した額と1円違います。この例では全額変動より月約13,538円高く、全額固定より月約13,538円低くなります。
固定部分があるため当初負担は上がりますが、その部分の金利上昇による負担増を避けられます。ただし、固定金利が変動金利より常に高いと決まっているわけではありません。実際の見積もりでは、各部分に適用される金利で計算し直してください。
5年後に変動部分が年3.0%になったら?
次に、変動部分は最初の60回まで年1.0%、61回目から年3.0%になると仮定します。60回返済後の残高を使い、残り30年・360回で返す月額へ直ちに再計算します。5年ルール・125%ルールなどの返済額据置や上限は適用しない単純比較です。実際の商品の改定時期や計算方法とは異なる場合があります。
| 借り方 | 当初の月額 | 61回目から |
|---|---|---|
| 全額変動 | 約101,623円 | 約133,207円 |
| 半分ずつ | 約115,161円 | 約130,953円 |
| 全額固定 | 約128,698円 | 約128,698円 |
全額変動の60回返済後の残高は約3,159.5万円です。半分ずつの場合、変動部分の残高はその半分の約1,579.8万円となり、新しい月額約66,603円に固定部分約64,349円を加えます。この例では、全額変動の増加額約31,584円に対し、ミックスの増加額は約15,792円です。
増加額が半分になるのは、変動部分の元金・返済期間・当初金利をそろえて半分にした、この試算条件によるものです。手数料や総負担のリスクまで半分になるわけではありません。また、ミックスの61回目以降の月額は全額固定より高くなっています。どの案が総額で有利かは、その後の金利経路と費用によって変わります。
計算では月利を年利の12分の1とし、日割り・手数料・登記費用・税効果・金融機関の端数処理を除いています。団信の上乗せも含めていません。契約を選ぶ際には、これらを反映した金融機関の返済予定表を取り寄せてください。
半分ずつではなく「払える増加額」から割合を考える
迷うから半分にする方法もありますが、最初に家計の上限を決めると比較が具体的になります。住宅ローン以外の生活費、税金、保険、修繕費、教育費、毎月残したい資金を引いて、住宅ローンに使える月額を計算しましょう。ボーナスや残業代がなくても続くかも確認します。
先ほどの仮定で月額の上限を13万円と考える家庭なら、当初は3案とも収まります。しかし、金利上昇後の全額変動と半分ずつの案は13万円を超えます。「当初なら払える」と「想定した変化の後も払える」を別々に判定する必要があります。
固定割合を増やすと、この例では上昇後の月額を抑える方向に働きますが、当初から支払う額も増えます。固定30%・50%・70%など複数案を出し、家計の変化と合わせて選びます。将来の収入増を確実な前提にせず、収入が減った場合も別の試算にしましょう。
手元の資金を減らして借入額を抑える案との比較も必要です。金利上昇に備える預金まで頭金へ回してしまわないよう、頭金と手元資金のバランスも確認してください。
契約が分かれると、費用も全部2倍になる?
費用の扱いは項目と金融機関によって異なります。「2本だから全部2倍」「総額が同じだから費用も同じ」と、どちらにも決めつけないでください。借入額に比例する費用と、契約や手続きごとにかかる費用を分けて見積もります。
三井住友銀行は、金利種類ごとに固定金利に関する手数料が必要になる場合を案内しています。三井住友信託銀行は、組み合わせる借入ごとの契約・登記に伴う費用や、同時申込時の保証取扱手数料の扱いを説明しています。詳細は各行の条件であり、他行の商品にそのまま当てはめられません。
- 融資手数料・保証関係の費用は、金額比例か契約単位か。
- 電子契約と書面契約で、必要な費用がどう違うか。
- 抵当権設定と、将来の抹消でいくら必要か。
- 金利タイプ変更・繰上返済・全額返済の費用はいくらか。
手数料の読み方は定額型と定率型の比較にまとめています。契約時の費用だけでなく、後から変更する予定まで伝えて見積もりを依頼しましょう。
団信・繰上返済・借り換えも契約ごとに確認する
団信は、どの契約に誰の保障が付き、どんな場合にどの残高が対象になるかを確認します。ミックスにしただけで、異なる保障を自由に選べるとは限りません。保障の上乗せ金利がある場合は、それを含む金利で月額を計算します。関連:団信の金利上乗せによる負担。
繰上返済も、どちらの契約へいくら充てるかで残高の割合が変わります。変動部分を多く返せば、その後に金利が上がった場合の影響を受ける残高は小さくなりますが、手元資金も減ります。固定部分の金利が高いから常にそちらを優先する、と機械的に決めず、費用や資金の用途まで比較してください。
将来、一方だけを他行へ借り換えたい場合も、自由にできるとは限りません。担保や融資条件を含めて金融機関に確認が必要です。「今はミックスにして、後で片方だけ簡単に乗り換える」という前提を置く前に、可能な手続きを聞いておきましょう。
見積もりを依頼するときの伝え方
金融機関には「同じ借入総額・期間・返済方法で、全額変動、全額固定、ミックスの3案を比べたい」と伝えます。ミックスは固定の期間と割合を指定し、当初月額、想定金利上昇後の月額、契約時の費用、将来の変更費用をそろえてもらいます。
金利がいつ確定するかも重要です。申込時に見た金利と融資実行時の条件が異なる商品もあるため、見積書の日付と適用基準を確認します。申込時と融資実行時の金利の違いを踏まえ、契約前に最終条件で再比較してください。
ミックスは「割合」と「変更後の家計」で選ぶ
ミックスローンは、変動の当初負担と固定の返済計画の立てやすさを組み合わせる選択肢です。ただし、金利上昇の影響がなくなるわけではなく、契約が複数になることで管理や費用の確認も増えます。固定する期間を明確にし、家計で許容できる返済額から割合を考えることが大切です。
一次情報と確認日
確認日:2026年10月14日。各金融機関の公式案内で仕組みと注意事項を確認しました。本文の金利・返済額は当サイト独自の仮定計算で、現在の募集条件や将来の金利予測ではありません。


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